ラクスルアナンダ

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スタートダッシュ・ラストスパートはあるけど、途中は「中だるみ」をするだけ。これを避けるには…

プロジェクトや少し期間のかかる仕事をしているときに、その中盤における「中だるみ感」をどのように解消するかによって、達成できるかどうかや生産性が大きく変わります。

 

本日は、このプロジェクトや長期的な仕事の「中だるみ」を防ぐ方法について。

■「中だるみ」は、錯覚が原因

なにかお気に入りのものを収集しようと思って、「○○を100個 集めよう」とすると、最初の1個目、2個目を手に入れたときは嬉しいですね。99個あるときは、「あとひとつだ!」とちょっと気分が高まります。

でも、50個あるときに、51個目が集まったとしても、「まだ半分か~」とちょっとモチベーションも下がり気味になったりしませんか。

 

最初は0→1となったときは変化は大きいですし、1→2は倍増です。ひとつひとつの結果が大きな変化に見えるので、手応えや達成感があります。ところが50→51は、同じように1つ増えているにも関わらず、変化量としてはわずか2%です。先もまだまだです。そうすると手応えも達成感もあまり感じられないので、モチベーションはどうしても下がってしまうことになります。

 

これが「中だるみ」が起きる原因なのですが、考えてみれば分かる通り、変化を量として捉えれば、1個増えていることは変わりません。つまり、変化の量ではなく、変化の割合で捉えてしまうことによって、大きく変わっていないような錯覚に陥ります。その結果、手応え・達成感が下がり、モチベーションが下がってしまうのです。

■錯覚はさけられない

この同じ「1個増える」でも感じ方が違うというのは、単なる錯覚です。

 

有名な錯覚で、ミュラー・リヤー錯視と呼ばれるものがあります。同じ2本の線の両端に”>”が書いてあって、それが外向きになっているものと内向きになっているものがあると、長さが異なって見える(いわゆる「錯視」)というものです。

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たぶん、多くの人が見たことがあるのではないでしょうか。そして、多くの人がこれは単なる錯覚だとわかっています。

 

わかっていても、やっぱり長さは異なって見えるのです。

 

51個目と、1個目は同じ「+1」だとわかっていても、それが同じに扱えないのは、この錯覚と同じことが起きているのだと考えます。

 

■「中だるみ」をしないために

プロジェクトや中長期的な仕事を管理する上で、この「中だるみ」は大敵です。

最初や最後は、それなりに集中力は高まります。つまり生産性は高くなるのですが、途中というのは生産性を下げてしまう大きな要因になります。

 

これを避けるためには、「錯覚である」と理解するだけではダメだということは、ミュラー・リヤー錯視の例のとおりです。頭で同じ長さの線だと理解していても、別の長さに見えてしまうことには変わりないのです。

 

ではどのようにするのかというと、ふたつの作戦があります。

  • 進捗には目を向けない
  • プロジェクトの中間をなくす

です。

 

■進捗に目を向けない

これは「どのくらい進んだか」については関心を持たないようにすることです。プロジェクトの管理では、進捗状況は適切に把握して、遅れている部分にテコ入れをするというのが、当たり前のように言われます。

私もそれが正しいと思います。

 

しかしそれで進捗状況を把握しようとすると、モチベーションが下がるのです。「51個目か…」みたいに。

 

では何に着目するのかというと、「作業すること」です。プロジェクト全体の管理は無視して、今やることだけを淡々とやっていくことだけを考えるということです。

 

このためには最初にプロジェクトの計画を考えるときに、作業系(ひたすらやる)のタスクを中盤に持ってくるように計画するのです。最初と最後はモチベーションがありますので、難しい・頭を使う事をもってきて、途中にはひたすら資料を集める、データを転記するなどの体を使う作業を計画の中程に持ってくると、中だるみを避けることができます。

 

■プロジェクトの途中をなくす

第2の方法は、プロジェクトから中だるみをする期間をなくしてしまうことです。そもそも「途中」があるから「中だるみ」するのです。であれば、途中がなくて、最初と最後だけのプロジェクトにしてしまえばいい。

 

これは、多くのプロジェクトで中途半端にやられてます。多分皆さんも聞いたことがあると思います。いわゆる「マイルストーン」というやつです。

 

プロジェクトには、一般的には途中で「マイルストーン」が置かれて、それを中間目標として、最終的なゴールにたどり着くように計画されます。

 

ところが、一般的に1年くらいの期間のプロジェクトだと、半年くらいのところにひとつだけマイルストーンをおいて終わりです。多くて3~4個ほどでしょう。先ほど「中途半端にやられている」と書いたのは、これでは、そのマイルストーンの間、2~4ヶ月目の頃に「中だるみ」が起きるのです。

 

極論してしまえば、毎日プロジェクトのマイルストーンがあれば、「中だるみ」みたいなことは起き得ないわけです。つまり、毎日プロジェクトが始まって、その日のうちに終わってしまえば、「中だるみ」は起き得ないのです。

 

これは一般的に言われる「タスク」という管理状態です。つまり、プロジェクトの全体は最初から1~数日のタスクにまでブレイクダウンしてしまって、あとはタスクをきちんと管理・消化していれば、1年に渡るプロジェクトは、最終的には完了できるということです。

 

当然、タスクのブレイクダウンは完璧ではありませんし、途中で計画にない事態も起きます。

そのときにはプロジェクト全体を見てタスクの調整をしなければなりませんが、日々の管理においては、タスクをやることに意識を向け続けていれば、「中だるみ」という状態は避けることができるようになります。

 

プロジェクト管理では「全体を俯瞰するべき」ということがよく言われますが、ある作業をしているときに、「これは全体に対してどの程度の影響があるだろうか」などと考え始めると、51個目の錯覚が起きるのです。

 

つまり、ミュラー・リヤー錯視で、

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が同じ長さであるかどうかを考えるのではなく、そもそも、その図を見なければ錯覚は起きません。この図で言えば、横線 ”ー” だけを見ていれば錯覚は起きません。

 

■まとめ

「スタートダッシュ」「ラストスパート」という言葉の通り、プロジェクトの最初と最後の生産性はムリせずとも高まります。

プロジェクトの途中、とくに中盤では、錯覚によるモチベーションの低下、すなわち「中だるみ」を起きないように工夫することが全体の生産性を底上げできます。

 

錯覚が起きること自体は避けられないので、視点を全体の進捗ではなく、小さな単位に集中することで、「中だるみ」を防ぐことができます。