タスクはFIFOに処理して、情報はLIFOに保管する
コンピュータの世界では、データの処理順序を制御する方法が2つあります。
仕事の世界で取り扱うデータは大別すると、「タスク」と「情報」に分かれます。
「タスク」はなにか自分がすることで、「情報」とはメールや議事録、ニュースなどです。ただし情報を処理(読み解くこと)するとそこにタスクが含まれていることもありますが。
タスクと情報はこの管理方法がうまく適用できます
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■FIFOとLIFO
FIFOは、ハイフォ(またはフィフォ)と発音して、First In First Out の略語です。「キュー」と呼ばれることもあります。データが入ってきた順にデータを処理する方法です。たとえば、データがA,B,C,Dの順番に発生したら、Aを最初に処理して、次にB、次にCというように、発生した古いものから順に処理が実行されます。
行列のできるラーメン屋さんが処理するのは、まさにFIFOです。最初に並んだ人からラーメンが注文できます。
LIFOは、ライフォ(またはリフォ)と発音して、Last In First Out の略語です。「スタック」とも呼ばれることがあります。データが入ってきたのとは逆順に処理する方法です。たとえば、データがA,B,C,Dの順番に発生したら、Dを最初に処理して、次にC、次にBというように、発生した新しいものから順に処理が実行されます。
結構前に一世を風靡した『「超」整理法(著者:野口悠紀雄)』という書籍にあった、書類の整理法というのは、最近使った書類を一番手前に置いてことで、頻繁に使用する書類が常に手前にある状態を作るという方法です。これがLIFOの典型例です。
■タスク管理とFIFO
タスクの管理は、よく「重要度と緊急度で優先順位付けをしなさい」と言われます。
もちろんそれも大切だとは思うのですが、ここで「優先順位が低い」と判断されたタスクはどうなるでしょう?
仕事は、パーキンソンの法則のとおり無限に増殖します。
そうするとタスクリストを優先順位でソートして、上位にあるタスクだけを実行していくと、永久凍土のように消えないタスクの出来上がりです。
そして、タスクリストを見直すたびに、「あ~、まだこのタスクやれてない…」と悲しくなります。そうして私はタスク管理に挫折しました。
そもそも、「緊急度」は期限が明確なのだから判断できますが、「重要度」ってどうやって決めるのでしょう。「自分の将来にとって重要」とか「今の責任において重要」とかいうのはなんとなくはわかりますが、それを数字にできません。数字が正しいことは誰が保証してくれるのでしょうか。証明ができるものでもありません。
しょせん、その時の感覚でしかないのです。
ちょっと心理学を勉強すればわかりますが、人間の感覚的なものは、その時の感情・心理的バイアス・状況によって簡単に変わります。昨日「正しいこと」だったことが、今日は「悪いこと」に思える様になるのなんて普通にあります。
なので、タスク管理は、原則として先に来たものから先に実行する(FIFOで管理する)ようになりました。
これをやるようになったらちゃんとタスク管理ができるようになりました。残り続けるタスクはなくなりました。
■情報管理とLIFO
「超整理法」で紹介された方法をもう少し詳しく説明します。
書類をすべて同じサイズのクリアファイルに入れ、端に概要を記して引き出しに入れます。引き出しに入れるときには一番手前に入れます。
書類を出すときには常に手前から探し始めて、見つかったら取り出し、使い終わったらもとの場所ではなく一番手前に。
こうしておくと、次に取り出すときに最近使った書類が手前から並んでいるので、頻繁に使う書類ほど速く見つかるように引き出しの書類は整理されます。
実際、これはすごく効果的な整理法で、紙の書類が多いときにはとても重宝しました。
ただし、アナログな書類が大半を占めていた時代から、ほとんどの書類が電子情報なると通用しなくなります。
そこで、PCでもエクスプローラの標準のソート順を更新日付やアクセス日付でソートするようにしておけば、同じことができるようになります。
それから、エクスプローラの起動時に表示されるフォルダを、「最近使ったファイル」に設定を変えておきます。やり方は簡単で、最近使ったファイルのフォルダ
c:\users\(ユーザ名)\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Recent
へのショートカットファイルを作成して、それをタスクバーの一番右側に固定しておくだけ。WIN+1キーで「最近使ったファイル」のフォルダが開き、一番上にさっきまで開いていたファイルがあります。
更にこれの良いところは、そのファイルの実態がどのフォルダであっても、「最近使ったファイル」のフォルダにはショートカットとして自動的に保管される点です。「昨日見たファイルはどこにあったっけ?」とフォルダツリーをひとつずつ開く必要はありません。一瞬でファイルやフォルダにたどり着くことができます。
■参考図書 『「超」整理法』
「分類をしてはいけない」。情報洪水のなかで書類や資料を保存し検索するには、従来の整理法では対処できない。「整理は分類」という伝統的な考えを覆し、「時間軸検索」という新しい発想から画期的な整理法を提案。一大ブームの火付けとなった。 机の上は魔法のように片付き、「整理する時間がないほど忙しい」人に対する福音書。さらに、パソコンを用いた情報管理体系、アイディア生産を支援するシステムなど、知的活動の生産性を高める新しい方法論を提案する。 クラウド検索等、若干現代テクノロジーにマッチしないところはあるものの、本書の考え方を適用すれば最高の情報整理環境が構築できる。 新しいテクノロジーや時間管理についても続編で整理されている。 |